今回ご紹介するお話は、ブリハットカターと呼ばれる、インドの説話から派生したヴェーターラ・パンチャヴィンシャティカーと呼ばれているお話です。もっとも、名前を聞いてもなんのこっちゃと思われる方もいるでしょう。(というか殆どの方がそうでしょう)インドの文学なので、タイ文学として紹介するのはどうなんだという葛藤もありましたが、仏教を通して多大な影響を与えた文学で、内容がまあまあおもしろい(こっちがメインの理由)ので紹介するに至りました。
なお私は、もちろん、バーリーサンスクリット語で書かれた、(そもそもブリハットカターとか言う話自体は実在しないらしい…)原本は読んでおらず、何なら日本語に訳されている屍鬼二十五話も読んだことがありませんw タイ文学の授業で勉強したときにタイ語に訳されたのを一回読んだだけです。今回のお話は先生が話して、私がお世辞とはきれいとは言えない字でノートに取った内容と、教科書、そして何よりインターネットからの情報で書きました。(いつもどおりと言えばそですけど)相変わらず信憑性は氷点下を切っていますので、あんまり信じるのはやめましょう。そんな昔話があるんだなぁくらいの気持ちでご購読いただけたら幸いです。
さて本題に入るまえに少しこのお話について説明します。さきに述べたようにこれは、インドの大昔のお話なのですが、ラーマ7世の時代にタイ語に訳され、タイではまあまあ知名度のあるお話となりました。ただ翻訳家が面倒くさくなったのか、本来25話あるはずのお話が10話しか当時は訳されませんでした。当然高校で習う内容もこの10話のみです。インドの説話のなかでは、知っている人は知ってるみたいな知名度で、日本語訳の本もありますので今回の記事を読んで興味を持った方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
このお話はウェーターン(タイ語、多分バーリー語からのパクリ)とよばれる小鬼(?)がとある王様に語るお話です。経緯はこうです。とあるインドの街にトリヴィクラマセーナ王いう偉大な王様がいました。(長すぎるので以下「大王」と呼称。続く24話に王様がたくさん出てくるので)大王は、知力、洞察力に優れた人で、人望も厚い王様でした。
そんな大王に、毎日訪ねてきては、あるフルーツを大王に献上する仙人がいました。見た目その辺に生えているフルーツとたいした違いのないフルーツを、大王は形だけ受け取って、部下に取って置かせました。部下はそれを臭いを嗅ぐこともせずに、倉庫に投げ込んでいました。なんとズサンな保管。腐ってしまうでしょうに。そのフルーツを受け取って、倉庫に投げ入れるというルーティーンは10年も続けられました。
しかし、ある日大王は、仙人の背中を見送ったと、ふとフルーツをペットの猿に食べさせました。思いっきりかじった猿の歯に、ガツンと衝撃がはしりました。なんとフルーツの中には、金塊が入っていたのです。猿の歯は大丈夫でしょうか。大王は慌てて(十年間気づかなかった大王の洞察力のどこがいいんでしょうか?)部下にあらましを話し、どこにフルーツを保管しているかを聞きます。例のズサンな保管をされていた倉庫を開けると、そこには十年分の金塊の山が、腐ったフルーツの臭いとともに。(やっぱり腐ってましたねw)大王は、大急ぎで仙人を呼び出し、何かお礼をしたいといいます。仙人は、ちょっと手伝ってほしいことがあるといい、大王にとある森に来るように言います。
そこは妙に枯れ木の多い森で、薄暗く、何かの骨が辺りに散らばっており、フクロウの声が不気味に響いています。ふと仙人を見るといつの間にか、動物の骨でできた首飾りを身に着けています。この仙人只者ではないようです。仙人は、遠くの枯れ木を指差し、そこにある死体をここまで持ってきてほしいといいます。大王が直々に死体を取りに行くのも変な話ですが、十年分の金塊をもらった大王は、死体を取りに行きます。無事に木の下に死体を見つけた大王が、死体を持ち上げると、死体の顔が大王の方に向きました。ぎょっとして、慌てて死体を落とすと、それはふわりと浮いて木の方に戻っていきました。小鬼が取り付いていたのです。
その小鬼が先に述べたウェーターンです。おしゃべりな小鬼は、死体がほしければ、持っていってもいいが、もし道中一言でも声を出せば、死体はいつでもこの木のところに戻ると言います。大王は素直にそれに従い、ウェーターンと一緒に歩き始めます。そこで小悪魔が話すのがこの25のストーリーです。毎回、ストーリーの最後に小鬼が問題を出すのですが、大王はそれに答えてしまいます。死体は、もとのところに戻り、それでまた木のところから歩きなおし…というのを大王は24回繰り返してしまうのです。ホントに洞察力とは何だったのでしょうか…
最初に、小悪魔が話したお話は「烙印をおされた少女」
タイトルが、お世辞にも楽しみとは言えませんが、グロい話とかではないです…
さて、いかがでしたでしょうか?なかなか独創的なストーリーで面白いと思いませんか?
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